妊娠週数が進み、お腹をじっくり観察したお母さんが、これまで見たことのない茶色の線が、おへそを中心にした上下に現れたことに驚いたという報告を、あちこちでよく見聞きします。

これは正中線と呼ばれるもので、本来人間に備わったものは出現するだけなので、予防することはできません。では、正中線とは生まれつきあるものなのでしょうか?今回は、あなたが知らない正中線のことを、お話したいと思います。

正中線って何?妊婦さんだけにあるの?

妊婦さん向けの情報誌やウェブサイトを見ると、お腹に現れた茶色く縦にまっすぐ伸びる線のことを、「正中線」といっていることが多いようです。ですが、実際には意味が少し違います。

正中線とは、正面から人間の身体を見たときに、眉間から股間までを結ぶ一本の線のことをいいます。正中線が身体の中心部にあるのは、お腹にいたときに細胞分裂をした名残として残っているからです。

つまり、生まれつきあるものです。人間の鼻の下の筋やあごの割れ目も、細胞分裂の名残として残ったものです。妊婦さんに限らず、男女問わず、人間なら誰もが持っています。

正中線が妊娠して目立つようになるのはなぜ?

幼少のころから正中線が見えたり、体重が増減したことがきっかけで表れるひともいます。正中線が目立つか目立たないかには、個人差があるのです。では、妊娠前には正中線に気づかなかった女性が、妊娠をきっかけに目立つようになるのはなぜなのかが気になりますよね。

それは、女性ホルモンのバランスが変化したことが原因です。妊娠していない女性は、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンが、時期や量を変えて分泌することで、生理周期を維持しています。

この両方のホルモンがなければ、排卵することができないからです。ですが、妊娠が成立し、排卵の必要がなくなると、女性の身体は子宮収縮を抑制し、胎盤を安定させるために、プロゲステロンの分泌量をアップさせます。

このプロゲステロンには、メラノサイトを活性化させる働きがあるため、分泌量が増えることで、メラニン色素が沈着しやすくなります。これが、正中線が目立つようになる原因なのです。

このプロゲステロンの分泌量アップは、妊婦さんのシミやそばかすを増やしたり、肌が黒ずむ原因にもなっています。

一度できた正中線は消えないの?

妊娠中に正中線が目立つのは、その部分にメラニン色素が沈着したことが原因です。そのため、プロゲステロンの分泌が盛んな妊娠中は、それを消すのは難しいでしょう。

ですが出産をすれば、時間はかかるものの、女性ホルモンの分泌バランスが妊娠前に戻ります。そのため、産後3カ月から1年たてば、妊娠前のように正中線が目立たなくなるのが普通です。

正中線を消すためにできることはあるの?

妊娠中に正中線ができないように予防したり、できたものの色を薄くすることはできません。ですが、出産後に早く元の状態に戻すために、妊娠中からできるケアはあります。まず、正中線ができた部分を保湿する習慣をつけることです。

正中線ケア専用のクリームはつくられていませんが、妊娠予防専用のケア用品の中に肌の新陳代謝を促すビタミンC誘導体が含まれているものがありますし、ターンオーバーをサポートする葉酸が含まれた保湿ローションやクリームを使うという方法があります。

お風呂上りなどに保湿する習慣をつけておくと、効果があるといわれています。また、メラニン色素の沈着を避けるためには、ビタミンCとビタミンAの摂取がおすすめです。

とはいえ、妊娠中はビタミンAの摂取量に上限があるので、葉酸サプリの配合成分を確認し、安全な基準で含まれているもので代用するなどの配慮が必要です。

ビタミンCについては、食べ物で積極的に摂取するようにしましょう。